中学受験国語 記述問題の徹底攻略 (YELL books)

中学受験の国語に対する取り組み方を根本から変えてくれる本です。特に「国語はセンスだからどうしようもない」「とにかく塾の宿題を必死にこなせば何とかなるのでは」とお考えの方に手に取って頂きたい良書と思います。良いと評される国語の参考書では、学習効果の高い入試問題（良問）を選び、その問題についての解答を詳しく記載したものが多いように思います。このような参考書では、確かに個々の問題に対する理解は深まりますが、ともすると後付け的に文章の内容を納得する作業を積み上げていくということに陥りがちです。もちろん、このような練習も、自分の読解を修正していく上で役立ちますが、入試対策をする上で「次に出会う初見の問題に対してどこをどうすれば良いのか」という着眼や取り組みの手順（＝プロセス）を知りたいというのが本音ではないでしょうか。特別なことをせずに国語の点数が高い水準で安定しているようなお子さん達は、おそらく多くの問題を解く中で、感覚的にこの手順を自分の中に構築していっているように思います。一方、国語に対してどのように取り組めば良いか分からないお子さん、親御さんも多いと思います。私自身と子供がそうでした。本書では、記述を要する入試問題を「言い換え問題」「理由問題」「まとめ問題」「気持ち問題」の4つに大きく分け、具体的な作業手順としてのルールを教えてくれます。例えば「傍線部のルール」では、傍線部をいくつかの分かり易い単位に分けて、傍線部の意味をつかみやすくする方法が役立ちました。自分の子供の場合、かつては傍線部をなんとなく理解したつもりで（実はよく分からないまま）、そのフィーリングに合いそうなことを書いていた、というのが実際でした。しかし、本書では、「傍線部を幾つかの部分に（スラッシュ記号を入れて）分ける」というように手順に落とし込んでくれるので、子供がスラッシュ記号を入れた部分が親の目にもはっきり分かります。子供自身も、どこまでを理解できているか、どこが分からないかを自分で確認できるようになり、分からない原因を特定できようになりました。いままで我流で取り組んできた国語の受験勉強でしたが、本書で提示されている方法に真面目に取り組んだ結果、算数の典型題が解けるようになるのと似た感覚で、国語の記述問題に取り組むことができるようになりました。私の子供の場合、6年生になり難易度が増した国語の模試で度々苦しんでいましたが、本書に取り組んでから約半年で得点源になるまでに劇的に成績を伸ばすことができました。無事合格を頂けたのも、本書のおかげだと感謝しています。多くの中学入試では、算数と同じぐらい配点が高い国語ですので、記述問題に苦しまれているお子さんに本書をおすすめします。